テンポ
音楽は、ほとんどの場合、作曲者や編曲者によってテンポが指定され、曲の最初に、
Allegro、Andante、Lentoなどの楽語、またはメトロノームの数値によって示されている。
どんなテンポで演奏するかによって、曲の雰囲気がまったく違ってしまうことも多いので、
テンポは重要だ。作曲者、編曲者が、その曲をどう表現したいかに、テンポが大きく関
わってくるし、また、作曲したり編曲したるする時、そのテンポで演奏するのにふさわしい
音が書かれているのだから。
楽器の曲で、テンポの速い曲の場合など、決められたテンポに近づけるために、あくせく
練習することもある。
ところが、歌の人にとっては、息が続かないからとか、速い方がフレーズを表現し易いとか
で、しばしば決められたテンポより速く演奏する人がいる。ひどい場合はAndante(ゆっくり
歩く速さ)の曲がAllegro(速く)になってしまう。そうなると困るのは伴奏だ。
Andanteで書かれた伴奏をAllegroで弾くために、大変な難曲になってしまうこともある。
また、常に速めのテンポになる人と、ゆっくりになりがちの人がいるのも、おもしろい。
淡々とした音楽を好む人と、感情移入たっぷりにねばって演奏する人との違いは、性格や
好みだと思われるが、何かとあわただしく時が過ぎていく昨今、音楽までせかせかしては
いないだろうか。(2002年冬)