演奏会の批評
同じ演奏会を聴いても、「とても素晴らしかった」と言う人と、「よくなかった」と言う人とが
必ずいるようだ。
「素晴らしかった」と言う人は、その人にとって何か感動するところがあったからだろう。
演奏そのものが素晴らしかった場合もあるけれど、自分の好みの曲があってうれしかっ
たり、歌詞に感銘を受ける場合もあるかもしれないし、一生懸命演奏している姿に感動
したかもしれない。しかし中には、お上手で言う人もあるし、また親しい人で身びいきの
場合もあるとは思う。
一方「よくなかった」と言う人は、「良い演奏」というものに自分なりの基準(例えば音程
やリズムが正しいとか音色が美しいとか、よくそろっているとか歌詞がよくわかるとか)を
もっていて、その基準に達していないと、「よくなかった」ということになるのだろう。
感じ方の違いはあっても、どちらも本当だと思う。ただ、演奏会を批評する場合、良かっ
た所も必ずどこかあるはずだから、それを評価しながら、アドバイスとして率直な意見を
言いたいものだ。
演奏した側が批評を聞く場合も、「良かった」と言われたら、すべて良かったのではなく、
「良くなかった」と言う人の意見も真摯に受け止めなければならないと思う。
「良かった」という人の感想は喜んで聞くが、「良くなかった」という人の批判には耳をふさ
いだり、悪意にとる傾向の人もいるし、また、深刻に考え過ぎて落ち込んでしまう人もいる
ようだ。
多くの場合、批判されたことは、そう簡単に改善できることは少ないと思う。できることなら
本番までにできているだろうから。でも、長い時間はかかっても、良くしていこうという姿勢
があるかどうかで、少しずつでも変わっていくものだと思う。
批評する方も、される方も、謙虚さをもって、お互いを大切にする立場であれば、問題は起
こらないはずだ。