音楽の仕事
会社勤めのサラリーマンや楽団に所属する音楽家と違って、
フリーで音楽の仕事をする者は、身分がとても不安定だ。
健康保険も国民健康保険、年金も国民年金、どちらも払う方は多くもらう方は少ない。
そして退職金もない。
フリー(自由)というのは聞こえはいいが、首を切られるのもフリーだ。
私の知り合いで、ある合唱団の伴奏をしていた人が、ある日、もう来なくていいと言われた。
指揮者か幹部の人と意見が合わなかったかららしい。
また、別の所の合唱指導をしていた人で、同じ状況にある人がいると聞いている。
大きな演奏会に出演する時など、音楽事務所が関わっている場合は、
きちんとした契約書を交わすが、合唱団の伴奏や指導などは、口約束の世界だ。
法的には、首を切られてもなにも言えないのだろうか?
首まではいかないが、「しばらく来なくていい」というのは、時々ある。
以前、やはり合唱団の伴奏で次の演奏会は別の人に伴奏してもらうので、
演奏会が終わるまで(数か月)来なくていいと言われた人がいた。
その人は長年その団の伴奏をしてきた人で、悩んでいたが、数ヶ月後復帰して、
今もその団の伴奏をしている。
合唱団の伴奏は、毎週何曜日の何時から、と定期的に決まっていることで、
1回いくらかの伴奏料を頂いて、仕事として、その時間を組んでいるわけだから、
しばらく来なくていいと言われても、新たな仕事を入れるわけにもいかず、
収入も減ることになる。
そういう仕打ちにも耐えて、伴奏を続けるのは、その仕事にやりがいを感じているからだと思う。
断る側にも、よほどの事情がある場合もあるだろう。
でも、簡単には、合唱団伴奏者を機械の部品のように、簡単に取り換えてほしくない。
一緒に音楽している仲間なのだから。