ピンチヒッター
野球のことにはうとい私だけど、試合がピンチの時、代わりの打者を出すことらしい。
合唱伴奏のピンチヒッターを、20年位前は、ずいぶんやったものだ。
ある合唱団で伴奏者が急病のため、お願いしたいと言われ、
翌日の公演に、弾いたこともない組曲の伴奏をしに奈良まで行ったこともあった。
ある時は、合唱発表会で、もう出番になっているのに伴奏者が来ないというので、
その次の出番を待って舞台の袖にいた私が急きょ弾かされたこともあった。
また、北海道や沖縄など遠い所での合唱発表会では、旅費の節約のためか、
いつも伴奏していないところの伴奏もついでに頼まれることは、よくあった。
少々、初見はきくとはいっても、一緒に練習を積み上げてきたのではない所の伴奏は、
神経も使い、それなりに大変なことだ。できればあまりしたくないけれど、
頼まれれば断りベタの私。
でも最近は少なくなった。ピアノを弾く人なんて、いくらでもいるのだから、
こんな年寄りに頼まなくても、若い人に弾いてもらえばいいのだと思っていたら、
久しぶりにあった。
ある合唱団の公演の前日の最終練習にピアニストがいないという。
「いろいろ当たったけど、みんなダメなんです」
みんなダメで最終私に来たというのは、どうとればいいのか?
っと、ちらっと思ったけど、まあ、ちょうど空いているし、いいか・・・
しかし これまた、弾いたことのない組曲。
その日は空いていても、他は結構スケジュールが詰まっているから、
あまり練習の時間が取れそうもないしと思って、
「難しい曲ですか?」と聞いたら、
「いいえ、そんなに難しくないから山下さんなら大丈夫です」という返事。
これまたひっかかる。ビビっていると取られたのかしら。
まあ、困っているみたいだからと引き受けて、
ちょこっと時間を作って練習もし、先日、無事に役目を終えてきた。
そういうことは別にそれ程苦にはならないけれど、
やはり、あまりしたい仕事ではない。
とは言っても、逆に、私がどうしても都合がつかず、ピンチヒッターを頼むことが
ときどきあるのだから・・・