リズム感と拍節感
楽譜を正しく読み取って演奏するには、ドレミが読めるだけでなく、
リズム感、拍節感が重要だ。
4分音符は1拍、2分音符は2拍、符点4分音符は1拍半伸ばすとかは、
習えば知識としては知っていても、それが正しく演奏できるかは別問題だ。
ドレミは、慣れれば読めるようになるが、リズム感は、そう簡単には身に付かないようだ。

拍節感とは、3拍子、4拍子などの拍子を感じることで、
規則正しい拍を感じ、その1拍に正しく音符を当てはめ、
4拍子なら4拍子の感覚を持って演奏することが、簡単なようで結構難しいのだ。
全音符等の長い音符や、おまけにそれが小節線を越えてタイで繋がった場合等、
何拍延ばしているか数えられなくなる人もいる。
また、細かい音符が拍を越えてタイで繋がったシンコペーションというリズムが出てくると
いっぺんに苦手になる人も多い。
遅くから音楽の勉強を始めた人は概してリズム感、拍節感が正しく身についていない人が多いようだ。
それは、幼い子どもの頃に身に付くものと言われているが、
遅く音楽を始めても、それが身についている人も、まれにはあるようで、
それは天性のものなのだろうか。

コーラスで長年歌い続けている人の場合、発声の訓練も受けて、結構よい声も出るようになり、
楽譜も、視覚的に見て上がり下がりや長い短いがだいたいわかるようになり、
指揮者の合図さえあれば、そこそこ歌えるのだけれど、
指揮者の合図通りに歌えば、それで済むものでもない。
正しいリズムを理解しないで、指揮に頼って歌っても、
それは一時しのぎにしかならず、
別の曲で同じリズムが出てくると、また出来なくて、同じ繰り返しになってしまう。
また、それではリズム感のある良い演奏にもならない。
少なくとも、リズムのとり方を、きちんと習得する必要があるだろう。

ピアノやその他の楽器を長年勉強している人でも、それが苦手な人もいる。
どこどこの音楽大学を出た、留学したという人でも、程度の差はあるが、苦手な人もいる。
そういう人は、だいたい初見の楽譜で弾くのが苦手なようだ。
逆に、初見でバリバリ弾けて、リズム感はいいが、音楽に情感や深みが足りない人もいるので、
何もかも兼ね備えた音楽家は、そう多くはいないと言えるだろう。