音楽家の特性
昔、音大生の頃、この人は声楽科だ、あの人はピアノ科だ、ヴァイオリンだ、管楽器だと、ひと目でだいたいわかったものだ。その楽器をやる人の特性というかタイプがあって、声楽の人は底抜けに明るく雄弁で、ピアノの人は、まじめでこつこつ型、ヴァイオリンの人は繊細、管楽器の人はおっとり(もちろん例外もあるが)。先生もそうで、ピアノの先生は、レッスンに行くと、無駄口はいっさいなしで即レッスンを始められるが、声楽の先生は、お洋服の話、お化粧の話、食べ物の話、最近聴いた演奏会の話と尽きることなく続き、ようやくちょっとレッスンして、また話、という先生もいらしゃる。声楽の伴奏で何人かの先生のレッスンに付き合ったが、そういう方が多かった。しかし、その後長年音楽家と付き合ってきて、わかってきたことは、声楽家にも二通りあって、主にオペラを歌う人と、主にドイツ歌曲等を歌う人とは気質も違うということだ。オペラの人は華やかでおおらか、ドイツ歌曲の人は比較的静かで理性的な人が多い。そして指揮者はワンマンで自信家。総じて、音楽家は自己主張が強く、わがままな人間が多い。
(独断と偏見かな)